Pretty Man Lyrical

主にヒップホップのリリックを掘り下げるブログ。著者のヒップホップ知識、英語力向上が趣旨

ダサ男から屈指のモテ男へ?Drakeの打ち上げた「花火」

このブログを作る一つのきっかけとなったのが、以下の記事/ブログ。

 

Pound Cake〜ドレイクの同窓会リベンジ | T H A T S * I T C R A Y !

 

Odd Future好きな自分としては、タイラーの記事とかがすごく面白かったし、そのほかのリリック解説にしても、ますますヒップホップのことが好きになるようなものばかり。その中で、最初は「聴かず嫌い」してたDrakeについても、まさにこの記事を読んだのが好きになるきっかけで、もう一つは、モテ男ベテランラッパー(…って言っていいよね?)のFabolousが、ドレイクを褒めてたこと。いわく、「みんなあれこれ言うが、彼はいいリリックを書く」と言うのです。ヒップホップにはお堅いニューヨークのラッパーが。(かたやWu TangのGhostface Killahはドレイクもといオーブリーを「一番ワックなラッパー」と言ってるが…)俺は別にLosoを聴くわけではないんだけど、そんな彼が褒めるドレイクとは…?と気になったのです。

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で、話は戻って、彼のオフィシャルアルバムとしては最新作の「Nothing was same」「Pound Cake」内にて語られた「ハブられてた過去の自分(意訳)」がなかなか面白く(上記ブロク内の素晴らしい妄想話も必見)、あれ?今はモテモテで通ってるけど、昔は俺みたいな、ダサい奴だったのか???と、なんか勝手に共感してしまったのです。もっとも、俺は今もダサいノーマルな社会人なのですが…。

 

確かに、強気なフロウを聞かせる「Worst behaviar」も、ラッパーへの攻撃ってだけじゃなく、「過去の自分をコケにした奴ら」へのメッセージともとれる。「Started from bottom」では、「ニセモノの友達なんかいらん」と、有名になってきてから寄ってきた「お友達」を手で払いのけてる(Kendrick Lamar「Bitch don't kill my vibe」で同じことを言ってるっけ)ほうほう、これはいよいよ…。そこで、一気にファーストアルバム「Thanks me later」へ戻ってみることに。一発目のFireworksでは何をしゃべってるのか。

 

実は、ドレイクを聴かず嫌いだった時期にこの曲は聴いたことがありまして。でも、「なーに新人のラッパーがいきなりAlicia Keysとか呼んじゃって!しかも一緒にフック歌ってんじゃねーよ!」と、言ってしまえば偏見を持ってスルーしてたわけです。なんというバカ。おかげで最近になって買いましたよアルバム。

 

それはさておき。アルバムの一発目のこの曲、先の「過去のイケてない自分」を意識して歌詞を掘り下げればなかなか面白い。

 

あ、そういえば。解説としてすごく重宝してるのが、ご存じrapgenius

 

Rap Genius

 

もちろん英語なので、解説も訳さなきゃいけないが、それにしてもとても役に立ちます。感謝。

 

ドレイクのスタイルとして、それこそR&BでいえばNe-Yo的なリリックがあると思う。今までのラッパーは、マッチョイズム(資産的な意味でも、セクシャルな意味でも)なリリックが主だと思うんだが、ドレイクは2ndヴァースではひたすら未練がましくRihannaについてライムしとる。「あれは愛じゃなかった」とか、「僕がウィットを持ってたから回避できた」とか、「僕は本気だったけど、君は本気じゃなかった」とか…終始いい男アピール。でも、なんたってヴァースの一番最初は、「俺はめちゃくちゃ紳士、俺と寝るべきだよ」だってばよ。つまりは、強がりで恨みつらみを言ってるだけなのだ。あれ?モテ男…?

 

反面、昔の知り合いを見返すようなのが1stヴァース。「もう金なしじゃ生きていけない」(メジャーデビュー作の第一声がこのライン!)、「コンクリートから花が咲くなんて思わなかっただろ?」、「まわりのヘイターすら暖かく抱きしめてあげる」など、痛快だ。言ったれ言ったれ!

 

この、モテ男ぶってる背景に、過去のダサ男なドレイクがいる、となるととても彼のリリックには共感できる。ただ単に「歌えるラッパーとしてヒップホップシーンに白い目で見られていた」ととらえることもできるが、どうもそれだけには思えない。ましてや「Pound Cake」の件のラインを聴いた後には。

 

そしてさらにダメ押し。3rdヴァースにある以下のライン。

 

“母さんを豪邸に住まわせて、デカい街に連れ出して案内してやったんだけど、「前より一人ぼっちになっちゃった気分」なんて言うんだ”

 

ダサ男というか、つまりは結構普通な男の子だったのだ、ドレイクも。金持ってますぜアピールやモテ男アピールをしてはいるが、その背景には必ず過去の自分がいる。たまに強がったりする。親しみやすい考えの持ち主なんだと思う、ドレイクは。そういう意味で、彼はとても稀有なラッパーだ。Losoじゃないけど、心を動かされたラインだった。

 

打ち上げ花火のように、「飛び上がる」。打ち上げ花火のように、「はじけ散る」。

 

こう見ると、いまんとこドレイクってライムで聴かせるってよりか、リリックの内容自体に重きを置いてるのかな?なんせ、しばらくドレイクを掘り下げてみるつもりです。まぁ、次いつ書くかはわかりませんが。。。汗